水素エネルギーのメリットとデメリットは?次世代発電の可能性をご紹介

近年では、地球環境を守る取り組みが世界中で進められており、環境に優しい「再生可能エネルギー」の注目度は以前より高まっています。

水素発電は次世代エネルギーとしての活用が期待されていますが、それにはどのようなメリットがあるからなのでしょうか。また、水素発電のメリットと併せてデメリットもしっかりと理解しておきたいところです。


この記事では、水素発電のメリットとデメリットをふまえたうえで、水素発電について考えてみたいと思います。




■水素発電はなぜ注目?水素エネルギーのメリット



水素エネルギーは、水だけでなく幅広い資源から製造できるエネルギーです。一例として、石油・天然ガス・メタノール・エタノール・下水汚泥・廃プラスチックなど、実にさまざまな資源が水素の原料となります。


水素を取り出すには、水を電気分解させる方法が最も有効ですが、上で述べた資源からも水素エネルギーが生成可能であり、無限に生成できるエネルギーとも言われています。


エネルギーの自給率が低い日本では、自給率を上げる取り組みが求められています。水素エネルギーは日本国内にある資源から生成できるエネルギーであるため、自給率を上げるのに貢献しているのです。




■水素エネルギーのデメリット



メリットが多い水素エネルギーですが、実用化するにはいくつかの課題を解決しなくてはなりません。


最も大きいデメリットは、コスト面での課題です。日本では、水素を生成するのに必要な設備や環境が整っておらず、現時点では従来の発電方法の方が費用を抑えられます。設備投資に莫大な費用がかかることからも、水素エネルギーの活用までの道のりはまだまだ長いと言えるのです。


また、水素エネルギーを発生させることはできても、適切に活用するための技術が追いついていません。現在の技術では、水素エネルギーの十分な活用は難しいと言われています。


水素を適切に取り扱わないと、爆発の危険性があることも知っておかなくてはなりません。過去に、海外で水素タンクの爆発が発生しており、日本で同じような事故を防ぐには、安全性の確保や高度な技術が必要です。


水を電気分解して水素を発生させても、保管場所がないと水素の保存はできません。この点についても、今後の大きな課題と言えるでしょう。




■水素社会は近い?日常生活に導入されつつある水素



課題は残っているものの、水素エネルギーを使った発電は、私たち日本人の生活に少しずつ定着しています。特に自動車分野では、開発や実用化が進んでいるのです。


トヨタ自動車では、2018年に燃料電池バス「SORA」を発売し、東京都内では路線バスとして運行されています。水素エネルギーで充電しながら走るタイプであり、災害時の非常電源としても使用できるのです。


また、SDGsへの取り組みのひとつとして、JR東日本が2022年3月に完成させた新車両「HYBARI」は、屋根にあるタンク内の水素と空気中の酸素が反応すると発電する仕組みです。発電した電気は蓄電池へ蓄えることから、蓄電池と燃料電池のハイブリッドとも言われています。


この他にも、さまざまな場所や乗り物で、水素エネルギーの開発や導入が進んでおり、順次実証実験や実用化も進んでいくでしょう。機会があれば、水素エネルギーを燃料とする自動車やバスなどに乗り、水素の可能性を体感してみるのも良いのではないでしょうか。



水素エネルギーによる脱炭素社会の実現を目標に、さまざまな取り組みが始まっています。今後の動向や進展に注目していきましょう。