電気屋などで電球を見ると、色に違いがあることに気づいた方もいるでしょう。一般的に市販されている電球や蛍光灯の色は、「電球色」「昼白色」「昼光色」の3色に分かれていますが、なぜ異なる色の電球や蛍光灯があるのでしょうか。
今回は、電球の色に着目し、種類ごとの違いや温度ごとの特徴などを詳しく解説します。
■昼白色と昼光色の違いは?
昼光色と昼白色の違いは、光の色温度(単位:K)です。光の色温度とは、太陽光の色温度を基準として、光の色合いを表す尺度です。色温度が低いとオレンジ色がかった暖色系の光になり、色温度が高いと青みがかった寒色系の光になります。
色温度が低いとオレンジ色がかった暖色系の光になり、色温度が高いと青みがかった寒色系の光になります。
昼光色の色温度は、5700Kから7100Kです。太陽光に近い色合いで、さわやかで明るい印象を与えます。オフィスや勉強部屋、作業場など、集中力を高めたい場所に向いています。
昼白色の色温度は、5000Kから5500Kです。自然光に近い色合いで、見た目が明るく、色の識別がしやすいのが特徴です。リビングやキッチン、廊下など、広い空間を明るく照らしたい場所に向いています。
■照明の色味を決める色温度(ケルビン)とは?
電球の種類によって異なる色が出る理由は、色温度が異なるためです。色温度とは、光源(自然光・太陽光・照明器具など)から出る光の色を表す単位であり、光源そのものの温度や明るさとは別ものです。単位は、K(ケルビン)で表し、テレビやパソコンで使われるディスプレイの色を正確に表現するのに使われています。
Kが低いと、オレンジなどの暖色系の色となり、反対に高くなると白や青などの寒色系の色に変化します。色温度の変化による色味の変化は、以下のように太陽の色を見ると理解しやすいでしょう。
朝日・夕日…およそ2,000Kから3,000K
日中(太陽光)…およそ5,000Kから6,000K
晴天時の正午…およそ6,500K
朝日や夕日は、日中に比べ太陽の色が赤くなっていることから、色味の変化によって色温度も大きく変わるのがひと目で分かります。
また、人工照明のKがどのくらいになるのかも見てみましょう。
ろうそく(オレンジ色)…およそ2,000K
蛍光ランプ(電球色)…およそ2,800Kから3,000K
蛍光ランプ(昼白色)…およそ5,000K
蛍光ランプ(昼光色)…およそ6,500K
このように、人工照明であっても、太陽と同じく色味と色温度は連動して変わっていくのです。
・電球色とメラトニンの関係とは?
夜になると、人間の体内では睡眠ホルモン「メラトニン」が脳から分泌されます。メラトニンは、睡眠・覚醒・ホルモン分泌などのリズムを整える働きを持っています。
2009年に、パナソニック電工が行った検証により、室内照明の色温度が低いほど、メラトニンが分泌されやすくなるという結果が発表されました。この結果から、寝室には色温度が高い昼光色や昼白色ではなく、色温度が低い電球色を取り入れましょう。メラトニンの分泌が抑制されず、睡眠の質を高めることができます。
■電球の色味ごとの特徴と向いている設置場所は
ここからは、電球色ごとの詳しい特徴や、どのような設置場所が向いているのかなどを見ていきましょう。
・電球色(オレンジ色)
暖色系の色であり、明るさを抑えて落ち着きを持っているため、温かみを感じることができます。先ほど紹介したように、メラトニンが分泌されやすくリラックス効果も得られるため、寝室などリラックスしたい場所に適しています。また、料理を美味しく見せる効果もあり、食卓やリビング・ダイニングの間接照明などにも使われる色です。
一方で、集中力が必要なオフィスや作業部屋には不向きです。
・昼白色(自然な白色)
屋外の太陽光の色合いに最も近く、人間にとって身近に感じる色です。自然な明るさであるため、どの部屋にもマッチします。
特に、洋服を選んだりメイクをしたりする場所に設置すると、部屋で選んだ時と外に出た時とで色味が違うという失敗を避けられます。
・昼光色(やや青みがかった爽やかな白色)
青みがかった色をしており、すっきりとして爽やかな印象を与えます。細かい部分まではっきり見え、脳の働きを覚醒させる効果を持っているため、集中力を高めたい学校・勉強部屋・オフィス・仕事部屋・読書スペースなどにおすすめです。
一方で、はっきり見えることから目が疲れやすくなるため、偏頭痛にならないよう適宜休憩すると良いでしょう。夕方から夜の時間帯に昼光色の下にいると、メラトニンの分泌が抑えられることから、寝室には違う色を使うようにしましょう。
■まとめ
電球の色は、設置する場所や使用目的によって、どの色を選ぶべきかが変わってきます。今回紹介した内容を参考にしていただき、目的に合った電球を使うようにしましょう。