近年では太陽光発電システムが普及し、一般の住宅にも設置されるケースも増えてきました。しかしながら、太陽光発電システムもいずれは寿命を迎えます。高価な設備なのでなるべく長持ちさせたいところですが、一体どのくらい持つものなのでしょうか。ここでは太陽光発電システムの寿命(耐用年数)や、寿命を延ばすためのポイントをご紹介します。
■太陽光発電システムの部位ごとの寿命
太陽光発電システムは、主に「太陽光パネル(ソーラーパネル、太陽電池モジュール)」と「パワーコンディショナー(パワコン)」で構成されています。太陽光パネルは太陽光を受けて発電する装置、パワーコンディショナーは生産された直流電力を一般家庭用の交流電力に変換する装置です。
太陽光発電システムの寿命は、この2つの部位に分けて考える必要があります。それぞれの寿命を見ていきましょう。
・太陽光パネルの寿命
太陽光発電システムの法定耐用年数は17年です。しかし、これは減価償却の基準として国税局が定めているものに過ぎないため、物理的な耐用年数とは別に考える必要があります。
太陽光パネルは可動部がないため故障することが少なく、17年を超えても使用できるケースがほとんどです。実際の寿命は、20年~30年程度とされています。しかもこれは、「現役で稼働している太陽光パネルの使用年数がこのくらい」ということなので、実際にはさらに長く使える可能性もあります。
・パワーコンディショナーの寿命
太陽光発電システムの心臓部ともいえるパワーコンディショナーの寿命は、10年~15年程度です。一般的な家電と同じくらいだと考えていいでしょう。太陽光パネルに比べると寿命が短いのは、可動部が多いためです。
もちろん、実際には15年以上使える場合もあるのですが、基本的には定期交換を意識しておかなければなりません。なお、交換する時は、同じメーカーの後継機種を選ぶのが原則です。
■故障が多いのはパワーコンディショナー
太陽光発電システムを構成する装置のうち、最も故障が多いのはパワーコンディショナーです。これは、前述したように可動部が多いのに加え、24時間フル稼働していることが関係しています。
故障の主な原因は、経年劣化や台風・豪雨などの自然災害です。雨水の浸入や、換気フィルターの目詰まりなどによって故障する場合もあります。太陽光パネルがどれだけ発電しても、パワーコンディショナーが故障していれば電気を使うことはできないため、もし故障したらすぐに修理・交換しなければなりません。
簡単な修理であれば、2万円~3万円程度で可能です。しかし、交換すると20万円~30万円ほどかかってしまいます。そのため、パワーコンディショナーはなるべく保証期間の長いものを選ぶのがおすすめです。さらに、保証期間が切れた後の交換を考慮し、10年ごとに20万円~30万円程度の交換費用を準備しておくといいでしょう。
■太陽光発電システムの寿命を延ばすためのポイント
先にご紹介した太陽光発電システムの寿命は、あくまでも目安です。適当に使っていると、ある日突然故障する可能性も否定できません。寿命を延ばすためには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
必ずやっておきたいのは、定期的な点検です。太陽光パネルは屋根に設置されるケースが多く、日常的なチェックが難しいことから、何か異常があっても気づきにくい性質があります。そのため、定期点検による異常の早期発見が必須なのです。
2017年に施行された改正FIT法でも、住宅用太陽光発電システムの定期点検が義務付けられています。まずは設置から1年後、それ以降は少なくとも4年に1回のスパンで点検を受けるといいでしょう。
また、こまめなモニターチェックも有効です。太陽光発電システムを導入すると、発電量がわかるモニターも設置されます。このモニターは過去の発電量も確認できるので、直近の同じような天候の日や前年同月と比較すると、「発電量が明らかに少ない」といった異常を数値で把握することができます。
他にも、「モニターが表示されない」「エラーコードが表示されている」といったトラブルがあれば、故障を疑うことが大切です。大きな台風や豪雨の被害を受けた後も、念のため点検をした方がいいかもしれません。何かあった時は、システムを設置した業者などに相談しましょう。