突然家中の電気が消え「あっ、ブレーカーが落ちた!」「誰か上げてきてよ」。このような事態は多くの方が経験しているでしょう。しかし、なぜブレーカーが落ちるのか、そもそもブレーカーは何のための機器なのかをご存知ない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ブレーカーの役割や落ちる理由、落ちた時の対処法などをご紹介します。
■ブレーカーの役割とは
ブレーカーの役割は、簡単に言うと「電気回路に何らかの異常が発生した時、電力の供給を遮断すること」です。いわゆる「ブレーカーが落ちた」状態というのは、ブレーカーが作動してスイッチがオフになり、電力供給が遮断された状態をいいます。一時的にせよ電気が使えなくなるのは不便かもしれませんが、ブレーカーのおかげでトラブルの拡大を防げているのです。
また、ブレーカーと聞くと、玄関や台所などにある「四角い箱」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、その四角い箱は電気を各部屋に分配する「分電盤」です。ブレーカーは分電盤の中にあるスイッチのついた装置のことで、それぞれ役割の違う3種類があります。各ブレーカーの役割を見ていきましょう。
・アンペアブレーカー
アンペアブレーカーは、分電盤の左側に配置されているブレーカーです。建物内で使われている電気の総量を管理しており、電力会社との契約アンペア数を超える電流が流れた場合に電力供給を遮断します。作動すると、建物全体で電気が使えなくなります。要するに、電気の使いすぎを防ぐための装置です。
なお、スマートメーター(デジタル式電力量計)が設置されている建物は、アンペアブレーカーがない場合もあります。これは、スマートメーターがアンペアブレーカーの機能も持っているためです。
・漏電ブレーカー
漏電ブレーカーは、分電盤の中央に配置されているブレーカーです。建物内の漏電を検知した場合に作動し、電力供給を遮断します。作動するとアンペアブレーカーと同じく、建物全体で電気が使えなくなります。漏電による火災や感電事故を防ぐための、非常に重要な装置です。
・安全ブレーカー
安全ブレーカーは、分電盤の右側に配置されているブレーカーです。複数のスイッチで構成され、各部屋・場所につながる電気回路を管理しています。作動するのは、対応する部屋・場所で短絡(ショート)が起きたり、許容範囲を超える電流が流れたりした時です。他の2つのブレーカーと異なり、作動すると対応した部屋のみ電気が使えなくなります。
■ブレーカーはどんな時に落ちるの?
各ブレーカーの役割から落ちる原因をまとめると、多くの場合は「電気の使いすぎ」と「漏電」であることがわかります。では、具体的にどのような状況が考えられるのでしょうか? それぞれ詳しく見ていきましょう。
・電気の使いすぎ
電気の使いすぎというのは、要するに「多くの電気機器を一度に使ってしまった」ということです。電気使用量の小さい家電であればあまり問題はないのですが、エアコン、ドライヤー、乾燥機、電子レンジ、IHクッキングヒーターなどは電気使用量が大きく、一度に使用するとアンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちる可能性が高くなります。
また、時間帯や季節にも注意が必要です。たとえば、夕方以降は家族が帰宅して照明もつけるため、一度に使う家電の数が増えます。何らかの理由で世帯人数が増えた時も、当然ながら電気使用量が大きくなるでしょう。そして、夏や冬はエアコンをフル稼働させるため、他の季節に比べて注意が必要です。
・漏電
漏電が起きやすいのは、しばらく使っていなかった家電や古い家電を使った時です。こういった家電は絶縁箇所の劣化や電源ケーブルの破損、内部やプラグ周辺へのホコリの堆積などによって、漏電しやすい状態になっていることが多いからです。また、キッチンなどの水まわりでは、水濡れによる漏電に注意しなければなりません。
そして、見逃されがちなのが屋外の漏電です。屋外は常に雨風や日光の影響を受けているため、エアコンの室外機や門灯といった電気機器・電気配線が劣化しやすく、漏電のリスクも高くなっています。特に梅雨~夏場は、エアコンを使うのに加えて豪雨や台風に見舞われやすく、室外機に雨水が入り込んで漏電するケースが増えます。
■ブレーカーが落ちた時の対処法と落ちにくくなる方法
ブレーカーが落ちた時は慌てず騒がず、正しい手順に沿って復旧させる必要があります。基本的な手順は以下の通りです。
①:落ちたブレーカー以外のブレーカーのスイッチもオフにする
②:電気使用量の大きい家電や、漏電が疑われる家電の電源を切って電源プラグを抜く
③:アンペアブレーカー→漏電ブレーカー→安全ブレーカーの順にスイッチをオンにする
④:電気が復旧したら家電の電源プラグを入れ直す
ほとんどの場合はこれで復旧します。もし③の作業の際、安全ブレーカーを上げた瞬間に漏電ブレーカーが落ちたら、そこが漏電しているということです。その場合は、問題の安全ブレーカーのみを上げずに復旧させ、電気工事店に点検と修理を依頼しましょう。
また、そもそもブレーカーが落ちないように注意することも大切です。まず、電気の使いすぎを防ぐため、電気使用量の大きい家電は使うタイミングをなるべくずらし、使う部屋も分散しましょう。漏電に対しては、アース線を接続する、たこ足配線を避ける、家電やコンセント周辺を定期的に清掃する、水気は必ず拭き取るといった対策が有効です。
なお、注意していても頻繁にアンペアブレーカーが落ちるようであれば、使う電気の総量に対して契約アンペア数が足りていないのかもしれません。これは契約アンペア数の変更で改善できるので、一度電力会社や電気工事店に相談してみてください。