新型コロナウイルス感染拡大にともない、あらためて再生可能エネルギーが脚光を浴びています。というのも、新型コロナウイルスの影響でガス・石炭・石油などの主要燃料の需要が落ち込み、代わりに風力や太陽光などの再生可能エネルギーの発電量がのびているのです。再生エネルギーは、ガスや石炭・石油と異なり、多くの労働力を必要としません。すなわち感染症の影響を受けにくい状況下でも供給が可能ということです。
今回はあらためてご自宅の発電源ともなりうる再生可能エネルギー、とりわけ太陽光発電の現在についてご紹介いたします。
■再生可能エネルギーを取り巻く世界の動向
国際エネルギー機関(IEA)は、新型コロナウイルスにより打撃を受けた経済活動の立て直し対策として、再生可能エネルギーなどに年間100兆円規模の投資を行い、持続可能な成長をめざすように各国に呼びかけました。
その再生可能エネルギーの代表的なものが、太陽光です。今ではすっかり耳慣れた太陽光発電ですが、あらためて仕組みを解説すると、太陽光電池を用いて太陽光を電力に変換するということ。太陽の光はたくさん使っても枯渇せず、屋根や屋上に設置できるため専用の敷地もいらず、ほかの発電方式と比べて設置制限が少ないというメリットがあります。また稼働するにあたり化石燃料を必要とせず、発電時も温室効果ガスを排出せず環境にやさしいという特徴があります。
■太陽光発電の2019年問題とは?
太陽光発電は発電容量が10kW未満であれば、家庭用として使うことができます。そして発電した電力量が消費電力用よりも多いとき、余った電力を電力会社に売電できます。太陽光発電が一般家庭の電力源として認知度を得たのは、この売電も一役買っています。
ただその売電の風向きが変わったと言われるのが、売電が開始された2009年から10年を迎えた昨年のこと。2019年問題とも呼ばれ、あらためて太陽光発電の動向が注目されました。
売電は固定価格買い取り制度(FIT)という制度に基づいています。これは太陽光発電にはじまる再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付ける制度のことで、この期間が10年間という設定です。
すなわち2009年から売電をはじめたら、10年間はその時の設定買い取り価格のまま売電できるといわけです。
巷を騒がせたのは売電価格の下落です。2009年には1kWhあたり48円で売電できていたところ、2019年は24円になりました。つまり2009年から売電を始めていた方は昨年まで48円で売電できていたところ、この先10年間は半額の24円でしか売電できないということになったのです。
■売電価格の下落は新規導入のチャンスとも
ちなみに2020年からFITを始める場合の売電価格は、さらに下がって1kWhあたり21円。2009年に比べるとちょっと残念感がありますよね。だからといって、太陽光発電に背を向けるのは早計です。FITの価格は、発電のための初期費用を回収できるように設定されています。すなわち売電価格が下がったということは、これから太陽光発電を導入するための機器購入費や設置費用も下がったということの裏付けでもあります。
この理由として、太陽光発電の世界的な普及により大量生産が進み技術も向上し、設置の低コスト化が進んだことが挙げられます。
設置のハードルが下がり、さらに新型コロナウイルスの影響を受け、あらためて注目を浴びている太陽光発電。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、この先、どのように状況が変わるかわかりません。年々、台風やゲリラ豪雨など自然災害の被害も激化しているだけに、家庭で安心なインフラを確保しておくにこしたことはありません。そのような状況を考えると、再生可能エネルギーは新しい生活様式における一つのキーワードとも言えます。
もちろんイニシャルコストが下がったとはいえ太陽光発電は、決して安い買い物はありません。信頼できる業者や売電に有利な電力会社を慎重に選び、エコで快適、そしてお財布にもやさしい暮らしを送ってみましょう。