お正月になると、あちこちで「新春」という言葉を目にするようになります。「新春のお慶びを申し上げます」など、年賀状や挨拶の文面でも定番ですよね。この「新春」とは一体どういう意味なのでしょうか?
■新春とは?
新春とは、新しい年を意味する言葉です。旧暦では正月を春の始まりとしていたため、新春も「春」という文字が使われるようになりました。
旧暦では、正月は春の始まりとされていました。そのため、新春と正月は、ほぼ同じ意味として使われていたことから、簡単にいうと、新春は「正月」と同じような意味です。
現在使われている暦は「太陽暦(新暦)」ですが、かつて使われていた「太陰暦(旧暦)」は、現在の暦と1ヶ月ほどずれています。そのため、当時の正月は現在の2月頃にあたり、ちょうどこの頃「立春(春の始まり)」を迎えます。
つまり、かつては1年の始まりと春の始まりが同じ時期だったため、「新年」「正月」とほぼ同じ意味で「新春」という言葉が使われるようになったと推測されるのです。その結果、暦が変わった現在でも、新春という言葉はお正月の賀詞(お祝いの言葉)として定着しています。
■新春はいつまで?
では、新春の期間はいつまでなのでしょうか?
新春の期間は、1月1日から3日頃までとするのが一般的です。ただし、地域や文化によっては、松の内(門松を飾っている期間)を新春と捉える場合もあります。
また、正月とほぼ同じ意味の言葉である以上、松の内(門松を飾っている期間)までであるとも考えられています。
ちなみに松の内(まつのうち)の期間は関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされています。
地域によって異なるため一概にはいえませんが、新春の期間は、1月1日から7日頃まで、または1月1日から15日頃までと捉えることができます。
一応、1月中であれば、新春という言葉を使ってもギリギリ不自然ではないでしょう。春という文字が入っているからといって、2月や3月に使う言葉ではないのでご注意ください。
■「あけましておめでとう」に込められた3つの意味
「あけましておめでとう」という言葉には、以下の3つの意味が込められています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 国民全員の誕生日
- 年明けに神様を無事に迎えられたこと
- 年明けを無事に迎えられたこと
・国民全員の誕生日
戦前まで日本は、元旦を国民全員の誕生日としていました。そのため、年明けはすべての人が1歳年をとることから、あけましておめでとうという言葉が使われるようになったと考えられています。
・年明けに神様を無事に迎えられたこと
年神様は、豊作や子孫繁栄をもたらす神様とされています。そのため、年明けに無事に年神様を迎えられたことは、幸運なことです。あけましておめでとうという言葉には、この喜びの気持ちも込められています。
・年明けを無事に迎えられたこと
年明けは、新しい年が始まる大切な日です。無事に年明けをを迎えられたことは、幸せなことであり、お祝いすべきことです。あけましておめでとうという言葉には、この喜びの気持ちも込められています。
■「あけましておめでとう」はいつまで使える?
あけましておめでとうという言葉は、本来は松の内の期間に使うのが一般的なので15日を目安としましょう。ただし、厳密な決まりはなく、松の内を数日過ぎても、その年初めて会った人に使っても問題ありません。
・ビジネスシーンで「あけましておめでとう」はいつまで?
ビジネスシーンでは、新年の仕事始めから1週間を目安としましょう。1月中旬くらいまでなら、あけましておめでとうという言葉を使っても違和感はないでしょう。
やはり、松の内を過ぎた中旬以降になると、季節外れになってしまうので、避けたほうが無難です。
その場合は、「今年もよろしくお願いします」や「新年のご挨拶が遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします」などの言い方に変えると良いでしょう。