デンキウナギはどうやって発電しているの?発電の仕組みと威力を解説

地球上には、自ら電気を発生させることができる生物が何種類かいます。その中でも有名なものといえば、南米のアマゾン川・オリノコ川水系に生息する「デンキウナギ」でしょう(ちなみにデンキウナギはウナギの仲間ではありません)。デンキウナギは、一体どのような仕組みで電気を生み出しているのでしょうか?


デンキウナギの発電能力の源は、体内の「発電板」です。そもそも、人間も含めた生物の体には微弱な電流が流れており、全身の筋肉は脳からの電気信号を受け取って動きます。デンキウナギは、筋肉細胞が変化した発電板を数千枚~1万数千枚も体内に持っており、それらが集まった「発電器官」によって電気を生み出しています。


1枚の発電板が生み出す電気は、わずか0.05V(ボルト)~0.15Vにすぎません。しかし、数多くの発電板を直列につなげることで、とても大きな電力を発生させているのです。乾電池を直列つなぎにすると、豆電球がより明るく光るのと同じ原理ですね。デンキウナギの体の4/5程度、頭部の後ろ~尻尾まではほとんど発電器官です。


この発電器官によって生み出される電気は、何と500V~800Vにも達します。乾電池1本の電圧が1.5Vですから、乾電池300本~500本以上の電圧ということです。さらには電流も1A(アンペア)と非常に高く、放たれた電気は馬を感電死させるほどの威力を発揮します。もちろん、人間が受けても非常に危険です。


なお、実はデンキウナギ自身も発生させた電気によって感電しています。しかし、デンキウナギの体には脂肪組織が豊富に蓄えられ、それが絶縁体の役割を果たすため、実際にはほぼダメージを受けません。アマゾン川に行く機会はそうそうないと思われますが、もしデンキウナギを見かけたとしても、迂闊に触ったり刺激したりしないようにしましょう。