硬貨の材料などに使われている銅は、私たちにとって最も身近な金属のひとつです。歴史学の分野に「青銅器時代」という言葉があることからもわかる通り、人類は太古の時代から銅を活用してきました。
銅が広く使われてきたのは、加工性・耐食性が優れていて色もさまざまなので、多種多様な製品を作れるからです。また、導電性や熱伝導性は金属の中でも特に優れ、電子機器の材料としても欠かせない存在になっています。パソコンやスマートフォン、エアコンやテレビや自動車などにも、銅が多用されているのです。
そんな銅の価格が、2020年後半頃から高騰しています。主な原因は、コロナ禍で一時的に落ち込んでいた経済が、2020年夏頃から回復し始めたことです。コロナ禍への対応として、メーカーや商社も銅の在庫を減らしていたので、需給が逼迫してしまいました。
また、脱炭素社会の実現に向けて、EV車(電気自動車)の需要が増加していることも大きな原因とされています。EV車を作るには、ガソリン車の3~4倍もの銅が必要だからです。同じく不足が問題になっている半導体の材料にも銅が使われており、これらの問題は深く関係していると考えなければなりません。
そして、銅が値上がりするということは、それを材料とする家電の価格も高くなる、あるいは供給不足になるということです。一応、2021年5月頃には銅の値上がりが一服しましたが、今後も経済は回復していくため、銅の価格が高い状態は続くと考えられます。ほしい家電や買い替えたい家電があるなら、前倒しで買うなどの対応を考えた方がよさそうです。