2018年は、ワイヤレス充電幕開けの年?



みなさんは「非接触給電」という言葉を聞かれたことがありますか? 別名「ワイヤレス充電」とも呼ばれます。2017年に、置いただけで充電できる機能、つまりワイヤレス充電機能を搭載した新モデルのスマートフォンが発売されています。


今回は、これから注目されるべきこのテクノロジーについてご紹介いたします。




■ワイヤレス充電(非接触給電)とは? 


一般的に、「コンセントや電源ケーブルなどのような金属部品を接続させずに、電力を伝送・供給する技術」のことです。


実はスマートフォンだけでなく、すでに身近なところで、コードレスフォンやシェーバー(ひげそり)の充電などに導入されています。




■ワイヤレス充電の原理




そもそも接続せずにどうやって電気を送ることができるのでしょうか?金属ケーブルを通さず、空間に電気を流す原理に不思議を感じるかもしれませんね。


ワイヤレス充電は、1831年にイギリス人のファラデーが発表した電磁誘導原理に基づいています。磁石を近づけたり遠ざけたりすることにより、コイルに電流が発生するという現象です。


また、小・中学校の理科の授業で習った、コイルに電気を流すと強力な磁力が発生する「電磁石」の実験を覚えていませんか?電気を流すことでコイルは電磁石になります。「電気」が「磁界」に変換されると、「磁界」は空間の中を移動することができるのです。これがワイヤレス充電のコアとなる原理です。


そして「ワイヤレス充電」は主に次の3つの方式があります。



【磁束を活用する「電磁誘導方式」】


送電と受信のコイルを近くに置きます。片方のコイルに電気を流すと磁界が発生し、それを受けたもう片方のコイルでは電気が発生します。電動歯ブラシや電動シェーバーなどの小型機器充電の方式です。



【電力だけを回収する「電波受信方式」】


空中を飛ぶ電波をアンテナで受信して、電力だけを回収します。ラジオやテレビの方式です。



【電界や磁界を共鳴させて電力を送る「共鳴方式」】


コイルやコンデンサーを使用して共鳴回路を作り、電界・磁界を共鳴させることによって電力を送る仕組みです。電磁誘導方式よりも伝送距離が長いというメリットがありますが、その分伝送効率が悪いのが課題です。電気自動車の充電法として実用化が期待されています。




■ワイヤレス充電が有望な理由


ワイヤレス充電にはこんなメリットがあります。



【電気的な金属接点がないから安全】




プラグやコネクタなど、金属接点を持つ電化製品やスマートフォンには水が大敵です。しかし、ワイヤレス充電には金属的な接点がないので、水がかかってもショートする心配がありません。


電動歯ブラシや電動シェーバーのように洗面所など水の多い場所で使われるものには、ワイヤレス充電技術がすでに採用されています。クリーンルームなどの高度な産業設備で問題視される、接触による金属粉の発生の心配がないことも魅力です。



【物理的な接点がないから劣化しにくい】




ワイヤレス充電では送電側と受電側の間に物理的な接点がありません。

さらに水、ガラス、アクリル、樹脂、木材などの非金属が間にあっても(例えばガラス越しでも、真空容器の中にある製品へも!)給電ができます。プラグやコネクタのように接触する部分がなければ、劣化や破損の心配なく、半永久的な使用が可能なのです。


工場などで稼働するラインやロボットなどに採用すれば、破損によるメンテナンスコストを軽減することができるでしょう。




このように、充電器や充電コードと機器をつなげる必要のないワイヤレス充電は、家庭、オフィス、工場だけでなく、電気自動車、そしてペースメーカーなどの医療機器にまで活躍の範囲が広がります。


さまざまな電気製品における新しい充電方法の実用化が射程内に入ってきた2018年は、ワイヤレス充電幕開けの年と言えるのではないでしょうか。


より暮らしやすい明日を創り出すテクノロジーに期待しましょう。